ドッグプログラムとはなにか?

ドッグプログラムとは

“ドッグプログラム”とは、犬という動物を介して、人に対して行う教育や支援活動の全般を指します。
このプログラムが対象者に与えるものは、犬のセラピー効果(リラックスや精神安定)だけでなく、身体面や健康面の維持、対人コミュニケーション力、自立的な判断力や行動力の育成、責任感や自己肯定感、無償の愛情を知ること、信頼関係を築くこと、などプログラムの実施形式によって多岐に渡ります。

特に、アメリカの各州では様々なNPO団体などがドッグプログラムを運営し、約20年ほどの歴史があります。学問的な研究成果も発表されており、注目が集まっている分野です。

代表例として、アメリカオレゴン州の「プロジェクトプーチ」があります。
プロジェクトプーチ社では、少年院内で犯罪を犯した少年が、一度飼い主に捨てられた犬を保護して家庭で暮らせるように心身のケアとトレーニングを行って犬の新しい家庭(里親)を探す活動を行っています。ここでは”責任””忍耐””愛情”の3つを主に学んで、再犯を犯さないよう更生を目的とした教育プログラムです。
これまで200人以上の卒業生のうち再犯率0%の実績を出しています(通常は半数ほどの少年が再犯してしまう)。アメリカでは日本と社会保障の仕組みが異なるため、再犯しない=自立して生活している、と捉える事が出来ます。
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ドッグプログラムの特徴は?

ピラミッド

社会では”様々な課題にぶつかっても乗り越える力””自分で環境を切り開く力””他人や組織の中で関係を築いていく力”などが必要であり、その基礎力が形成されていないと、一度就労してもなかなか続かないため、専門知識や社会人マナー以前の、一番下の土台の部分をしっかり安定させることが大切です。

★土台の力を育成する際に、人が相手だと出来ない・難しいことでも、犬が相手だとできるようになることもあります。
★また、犬がいることで、対象者が持つ課題を乗り越える際に、最初の一歩を踏み出しやすくなったり、モチベーションが保てる・やる気や動機が生まれることがあります。
★なにより、犬は生き物なので、信頼関係を築くことができます。そして、裏表はなく、ありのままの存在です。自分が愛情を注いだ分だけ愛情を返してくれます。

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責任者:代表の上山よりメッセージ

「ただ単に犬を若者に与えるだけじゃ意味が無い」
「犬にも若者にも必ず常に次の目標を設定すること」
「支援されてると感じる段階ではなく、自分が結果を出しているという感覚を持てる段階までサポートすることが大切」

私がこのプログラムを行うにあたって、常に大切にしている3つの言葉です。
1つ目と2つ目の言葉は、ドッグプログラムの分野で成功を収めているプロジェクトプーチ社(アメリカのオレゴン州)の創設者、ジョアン・ドルトン氏に初めてお会いした日に彼女が運転中の車の中で聞いた言葉です。

この活動は、単に犬を飼えば若者に変化があるのかというとそうではありません。それは日々活動する中で痛いほどに実感しています。犬は生き物であり、その命を預かるということには必ず責任が発生します。毎日の散歩や餌やり、定期的なお手入れが必要です。犬が人間社会で生きていくことを教えるためには、教える側の忍耐力、犬に対する深い愛情も求められます。そんな日々の労力と愛情をたくさんかけるからこそ築ける信頼関係があり、犬はかけがえのない多くのことを私たち人間に教えてくれます。

そのような、ある意味では「高いハードル」となる犬の毎日の世話やしつけは、簡単にできるものではなく、各若者にあったステップのプログラムを組むことで、若者が小さな目標を少しづつクリアしていけるようにサポートすることが大切です。若者にとっても日々成長し自己肯定感が育まれるよう、そして犬にとっても人とのコミュニケーションを楽しみ課題を乗り越える中で自信がつくよう、互いに支え合い成長できる関係を築くためには、必ずそこに介入する「犬の専門家」「若者自立支援の専門家」が必要であり、そして何より「犬と若者の双方を見れるコーディネータ」が不可欠です。不思議なもので、人がつまずくと犬もつまずき、犬がつまずくと人がつまずきます。どちらか一方だけがメリットを享受できるプログラムではありません。
私はアメリカで大きな成果が出ているこのドッグプログラムを、安易な気持ちではなく、本質的な形で日本に広げたいと思って活動を始めました。現在、日々現場で活動する中でも、常にジョアンからもらったこの言葉を自分の心に言い聞かせています。

3つ目の言葉は、日本の若者支援で成功している横浜のK2インターナショナルの岩本氏に現場の視察案内をしていただいている時に聞いた言葉です。

自分が価値がある人間なんだと感じるのは、どんな時でしょうか。

食べ物を誰かにもらった時と、自分が誰かに食事を作って感謝された時、どちらが自分のことを褒めることができるでしょうか。
例えばキドックスの活動の中でも、最初は犬とふれあう中で心が安定することももちろんありますが、徐々にドッグセラピーをされる側から、他者にドッグセラピーをすることで(老人ホーム訪問など)相手から感謝をされる側へと移行していきます。本当に自己肯定感が育まれる時とは、自分が周囲のために何かアクションすることで周囲から承認されたり愛されたり必要とされることだと思います。そしてそれは、人の生きる活力となり、働く意欲へと繋がっていくと考えます。そのような場面を一人一人のステップに合わせて少しずつ経験をしていけるようにサポートすることで、やる気や意欲の芽を育みます。それぞれに合わせたプログラムを、現場スタッフも私自身も日々悩み考え若者と共に成長しながら作っています。

キドックス代表 上山琴美

 

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